「日本のすごい現場力」を強みにするためのデータ経営とは

日本のホワイトカラーは生産性が低い、と言われて久しい。でも日本の重厚長大の会社でキャリアをスタートした私としては、これが不思議でならなかった。周りを見ても誰もサボっていない。一所懸命働いている。欧米企業のエグゼクティブ並みに長い時間コミットしている。

しかしその後、私はアメリカの多国籍企業に転職して、言われている意味を目の当たりにすることになった。彼らはとにかく仕事の密度が高く、どんどん物事を決めていく。うまくいかなかったことに対してはしっかりと検証し、次につなげる。あまりの密度とスピードに、初めの数ヶ月は疲弊しすぎて帰宅してからしばらく口がきけないほどだった。


多国籍企業の生産性が高い理由

多国籍企業に転職して感じた最大の違いは、マネージメントが本当に現場で起きていることを知っていて、コントロールできていることだった。問題点はすぐに現場で検証する。現場のリーダー格の顔を覚えている。何よりも、毎日・毎週・毎月、そして毎期のKPIがすべてデータとして頭に入っていて、自分のしていること、すべきことをデータで語ることができるのだ。だからマネージャークラスでも、自分のミッションに対して自分の部署が何をしているのか、しっかり「コントロールしている」という感覚を持っている。

その後、コンサルティングを含む色々な立場で幅広い業界の日本企業の方々とお付き合いをさせていただいているが、その作り上げてきた仕組みの緻密さに感動すると同時に、いつも不安を覚えてきた。日本企業は、とにかく現場がすごい。今、AIが流行っているけれど、そんなのは足元にも及ばない「あうんの呼吸」と「職人芸」でどんどん改善していくし、いとも簡単に問題を解決していく。現場のIQレベル、そしてEQレベルが高く、全体目線が持てている場合が多い。

しかし、そのすごい現場の中身、つまり何が起きてどう品質が改善されたのか、どんな問題が解決されたのか、ということをマネージャーは知っているだろうか。現場のリーダーは把握していると思うけれど、統括しているホワイトカラーはそれを知っているのか。

ここに多くの歴史ある現場を抱える会社の悲劇があるのだと思う。現場の暗黙知はすごいけど、会社の知的財産にはなっていない。そしてその暗黙知は継承されていない。極論すると、ホワイトカラーは現場力にただ乗りしていただけなのかもしれない、とさえ思ってしまう。それでは、生産性なんていいわけがない。


今こそ現場力をデータで分析すべき

ではどうやってパラダイムシフトを起こすのか。それには、データをしっかり押さえること。活動をデータで捉え、その中身を因数分解して把握することしかない。この因数分解を、「分析」という。

データを押さえ、社内の活動をデータで語る。分析して語る。そして同じデータで語ることを全社のルールにする(勝手に別のデータを持ってきて、都合よく解釈するのは絶対にNGだ)。そうすれば、ガバナンスなんて自然にできてくるし、よく聞かれる「現場に任せています」なんて発想がいかにナンセンスかが分かるはずだ。会社の舵を取り戻し、しっかりと方向づけをする第一歩はデータ、そして分析である


Antuit株式会社 代表取締役 釼持 祥夫