アナリティクスのハードルを下げる

アナリティクスや分析の最悪な結末は、結果的に実際の行動に何も結びつかなかったというエンディングです。
時間・工数・資金いずれにしろ、相当な資本を分析プロジェクトに注ぎ込んだにもかかわらず、そこから得た洞察が無視され、意思決定をするための材料としても使われない組織を想像してみて下さい。
このような無駄が頻繁に発生してしまうのはなぜでしょう?

よくあるのは、プロジェクトに入ったデータサイエンティストが、分析結果と導き出されたインサイトを関係者に適切に共有・説明しないケースです。

私たちは、その分析結果が現在のビジネスのやり方と反する場合、理解できない状況の受け入れに躊躇しがちで、統計と数学の知識不足がこの状況を更に渋らせています。これらのハードルを下げる役割と責任はデータサイエンティストにあります。

私が分析結果を顧客の関係者に説明する際に特に気をつけているのは、この時間はデータサイエンティストになるためのトレーニングをするのが目的では無い、ということです。彼等はモデルで使われている複雑な数学を理解する必要などありません。
分析のプロセス等を細部まで説明しているうちに、達成すべきビジネスゴールに行き着くまでに長い説明になってしまい逆に理解してもらえない、というのがよくあるケースです。

ここで重要なのは、統計や数学モデルを既存の意思決定プロセスの中に組み込みやすいように、わかりやすいインサイトと提案に変換することです。「分析は素晴らしいけど、これを使って何をするの?」なんて声を聞きたくないからです。

データサイエンティストが分析した結果がそのまま抵抗なく受け入れられるとは限りません。採択した分析手法とインサイト・提案に対して、実際の業務や経営課題に沿って説明するのはデータサイエンティストの責任です。ここで重要なのは、関係者に対して適切なレベルで説明できているかどうか、つまりハードルを越えてもらうために考慮しているかどうかです。

「私は専門家なんだから信じて下さい」というスタイルと、大学院レベルで習うアルゴリズムを使って説明するスタイル、この中間辺りが調度良いバランスです。
私の経験では、説明を基礎レベルに押さえつつも、もし質問されたらより深く回答できるように常に準備をしておくのが最も良いスタイルだと思います。このような準備には時間と努力を要しますが、どんな質問にでも対応できるわけですから、長い目で見れば努力が報われると思います。

さて、最大の障害を把握したところで、ではこれをどうやって乗り越えるのでしょう?

早期に問題を特定し、対処するのが一番です。また、できるだけ初期段階で全ての利害関係者とコンタクトすることも重要です。データサイエンティストが適切にビジネス課題に取り組み、結果を実行可能なビジネス提案へと変換するために欠かせません

最初の段階で関係者が提案内容を理解できれば、その後の解釈の相違は起こり難いものです。私の経験では、最初から想定課題を明確化し適切な質問ができていれば、顧客が理解でき、かつ実際にビジネスに活用できる結果を得ることが可能です。

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kumar-ritesh

筆者の紹介

Nicholas Wegman

Antuit, Prognos 経営コンサルタント

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