購入頻度の低い商品の購入者と関わりを深めるには

ブランドの成功のためには、顧客との継続的な関わりが欠かせない、これは誰もが認める方程式と言えるでしょう。日常的に使う商品の場合、ブランドと顧客の関係は明確です:顧客は商品を店舗やネットでみつけて、それを購入します。
では、年に1~2回しか購入しない商品やサービスの場合、顧客との関わりを継続していくようなCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)戦略を維持することは可能でしょうか?

結論から言えば、「可能」です。1度購入してから再購入までの期間が長いブランドの場合(例:自動車、旅行、金融商品、等)は、初回に購入した商品やブランドと顧客の関係を続けていくために戦略が必要です。そのためには、購入以外のタッチポイントから顧客のデータを収集し分析して、エンゲージメントを的確に把握するためのシンプルな仕組みが課題となります。では、どうやるのでしょう?

まずは知っていることから始め、次第に深堀りする:購入以外のタッチポイントからデータを収集し、理解して、顧客との関わりをシンプルに分析するにはどうしたら良いのでしょう? 初めは、「貯めて使う」タイプのロイヤルティポイントのデータや、プロモーションやカテゴリー等のすぐに活用できる情報を評価することです。次に、メールやWeb、アプリ上での動態など、少し複雑なデータを深堀りしていきます。

設定されたタッチポイントとロイヤルティ顧客の振る舞いの関係性を見れば、顧客ベースを刺激できる強力なインサイトを得られるでしょう。新しいロイヤルティプログラムの設計や、CRMのリスタートを企画しているなら、最も関わりの多い顧客層の行動を分析し、このグループにより多くの人を呼び込む戦略を立てる必要があります。
例えばあなたの会社が金融サービスを扱っている場合、退職後の資産運用をどのように紹介すれば、より多くの顧客を獲得できるでしょうか?

スマートなユーザーエクスペリエンスとは:オンライン顧客の多くはセルフサービスを好み、サポートセンターに何度も電話をしてくる顧客と比較すると、ライブのチャットサポートを含め、より高品質で、より早い体験を望んでいます。そして、費用対効果も高くなります。
例えば、イケアでは、パーツの交換はWebフォーム経由で注文するように顧客を誘導し、電話する選択肢を目立たせないようにしています。Webフォームでは、電話や店舗のカスタマーサービスでは把握するのが難しいかったり、時間が掛かってしまうような情報も収集しています。

タイムリーな内容でロイヤルティプログラムを活気づける:顧客が商品を購入したタイミングで、ロイヤルティプログラムを紹介するのは、不適切な場合もありえます。そんな時は単純なオプトイン(*企業等が個人情報を収集・利用する際の本人の許可を得ること)を紹介します。例えば、顧客の関心が高そうな商品のマニュアルや保証サービス、レビューにアクセスできるデジタルレシート等があります。顧客がオプトインした後は、今後は適切なタイミングで有益な情報が得られるなど、長期的な関係を継続するメリットを紹介します。オプトインは商品の更新やサービスが必要な時、または、ソーシャルプロモーションをする際に連絡をすることの同意を求めるので、Eメールを開封したり、Webサイトを見たり、アプリをインストールしてくれる可能性が高くなります。

参加型で引きつける:一見古い手法に思われますが、コンテストや懸賞プレゼントは、今まで接点の無い多数の人と関わりを持てるため、比較的抑えたコストで大量のデータを入手することが可能です。例えば、通信会社は既存商品のバリアを突破するのに苦労することがありますが、T-Mobile Tuesdaysのようにワクワクするような顧客経験を提供できる会社は忠実な支持者を獲得できます。

デジタルで見せる伝える:デジタルは顧客とのエンゲージメントを促すと同時に、顧客行動に関するデータを集められる最適な媒体です。例えば、AR(拡張現実)の技術を使い、店舗以外の場所で顧客が商品を試せる環境を構築できます。Modifaceでは女性が自宅で化粧品の組み合わせを試せるサービスを提供しています。収集したデータは、肌・髪・眼の色をもとにした類似ユーザー向けの新商品の組み合わせの開発に活用できます。

データ創出はパーソナルケア製品以外でも幅広く活用されています。例えば、ジャガーではPerfect Driveツールを使って自分のドリームカーを設計、ウォルト・ディズニー・ワールドでは最高のバケーションを計画、イケアでは究極のキッチンを設計できる、といったようなサービスを提供しています。購入頻度が低いブランドは、どのように顧客との関係を築きながら、将来的に購入する見込みが高い顧客を特定するためのデータを収集しているか、わかりやすい事例です。

実践的なエンゲージメントデータ:様々な種類のエンゲージメントを重み付けして組み込んだフレームワークを作成することで、経営層が顧客関係を全社的に俯瞰できるようになります。
顧客サービス分析は、大量の顧客エンゲージメントから起こりがちな、不要なミスや混乱を防ぐ早期のアラートに役立ちます。デジタルエクスペリエンス上で費やされた時間、放棄された与信管理、メルマガの停止要求まで、顧客一人ひとりが、全てのチャネルやタッチポイントをどのように利用しているのか理解することが重要です。あなたのマーケティングチームの認識力は向上し、データサイエンスや分析プロセスの改善にも繋がります。

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筆者の紹介

Dr. Mark Howland
MarkはヨーロッパのAntuitのバイス・プレジデントとしてマーケティング分析案件をリードしています。

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