資産価値として店舗スペースに着目してみる

食料雑貨、ドラッグ、様々な商品の需要は絶えず移り変わり、消費者は日常に変化を求めています。10年前、小売店の商品棚にはCDやDVDがあり、食品スーパーではラガービールをケースで販売し、ショッピングモールでは写真を印刷するコーナーがあるのが当たり前でした。それが今ではECサイトで発注した地ビールを飲みながらオンラインで映画を観て、自宅で写真をプリントするのが主流の時代へと変化しています。

店舗運営としてAmazonのような膨大な商品数を抱える相手との競争が続く中、どうすれば売り場スペースを最適化できるのでしょう?

実店舗で商品棚のスペースは圧倒的に不足しています。変化し続ける小売業の中で、競合に先んじて生き残れる可能性が高いのは、商品棚を最も効率的に管理できている会社でしょう。

しかし店舗スペースの戦略は、商品の品揃えの変化に追いつけていません。10年前、米国の食料品店ではSKUレベルで30,000点が普通でしたが、今では同じサイズの店舗で50,000 点に。そして商品数は増え続けているのに、店舗スペースの使い方はあまり変わっていないのです。

品揃えも重要ですが、限られた店舗スペースで、各レベルの商品をどう配置するかも見逃せないポイントです。成功している小売業者は店舗スペースの計画にも戦略的な手法をとり、商品棚の配置によって店舗全体の売り上げを最大化することを重視しています。

需要予測も、店舗スペースの最適化において重要な役割を担います。「彼のスペースを削り、私の部門を増やせ」と売り場のマネージャー達が小競り合いするより、データ分析による検討が有効でしょう。各部門の最適な棚割りと、消費者の要求を満たす商品カテゴリーやサブ・カテゴリーレベルでの品揃えの両立として、適切なプランニングができるはずです。

自転車から車のパーツ、ガスレンジから配管関連まで、ありとあらゆる商品を販売していても、棚割りが適切な店舗は、そのレベルをより詳細なサブカテゴリーやSKU単位に引き上げることが可能です。結果的に「バスケットバリュー」つまり顧客単価が大幅に向上するでしょう。

では、実際にどうしたらよいのでしょう?

まず、商圏、競合店舗、市場動向のデータを分析し、店舗をクラスタリングします。これによって新規サービス(例えばコーヒーショップ、クリーニング、携帯ショップ等の特設スペース)や新たな商品カテゴリの取扱いなどの戦略決定に役立ちます。店舗ごとの顧客情報や販売情報と、外部のデータを統合することで、あるサービスを提供するにはどの店舗が向いているのかを判断することもできます。

分析で得たインサイトを通じて、どのような新規サービスを展開するかを検討し、店舗のレイアウトを変更するのに必要な計画をたてることになります。伸び悩む商品カテゴリを撤退させる場合もあるでしょう。スペースの再配置によって販売機会の改善が見込める店舗のランク付けも分析から導き出すことができます。最も効果が見込める店舗に投資できるよう、COOをサポートした事例もあります。

このような売り場改革では、その価値を立証し、より広く展開する支持を得るために、テスト&ラーンを通じた売上増の計測するのが不可欠です。この戦略的なアプローチを店舗レイアウト変更や棚割り管理に取り入れた小売業者は、続々と1%~3%の売上改善を達成しています。

店舗スペースは最も価値の高い資産です。データ分析を活用し、そこから得られる最大限のものを手にするべきです。

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筆者の紹介

Dr. Mark Howland & Steve Gordon
Dr. Mark Howlandは、Antuitヨーロッパのバイス・プレジデントです。
Steve Gordonはシニア・バイス・プレジデントとして、小売業やCPG分析のサービスをグローバルに提供しています。

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